スイッチオーバー/自動フェイルオーバー
性能を持続させ、故障によるサーバーのダウン時間を最小限に抑えるために、サービスを high-availability クラスタのアクティブ サーバーから冗長サーバーである受動サーバーに切り替えることができます。この機能は「切替」、または場合によっては「フェイルオーバー」とも呼ばれます。ここでは、これらの 2 つのコンセプトの基本を説明します。
スイッチオーバー
「切替え」とは、high-availability クラスタのアクティブ サーバーを冗長サーバーである、受動サーバーに切り替えることです。正常に作動しているときには、アクティブ サーバーがすべてのサービスを管理します。しかし、アクティブ サーバーが故障した場合、受動サーバーが正常に作動しているものと想定し、すべてのサービスを受動サーバーに切り替えることができます。この時、アクティブ サーバーが受動サーバーとなり、受動サーバーがアクティブ サーバーとなります。
手動で切り替える:
- [クラスタ] ページで [管理] ボタンをクリック
- [スイッチオーバー] をクリック
注:
- 切替え中は、まずアクティブ サーバーが受動サーバーとなり、次に受動サーバーがアクティブ サーバーになります。つまり短い間ですが両方のサーバーが受動サーバーになる時間が発生し、この時間はサービスを正常に提供することができません。切替に要する時間は、ボリュームや iSCSI LUN(ブロック レベル)の数とサイズ、high-availability クラスタでのサービスの数と読み込み量により異なります。
自動フェイルオーバー
エラーが発生すると、システムはサービスを提供し続けるために自動的にサービスを切替えます。このようなイベントを「フェイルオーバー」と呼びます。システムがフェイルオーバーを実行する状況には、次のような場合が考えられます。
- ストレージ スペースがクラッシュした:アクティブ サーバーのストレージ スペース(ボリューム、ディスク グループ、RAID Group、SSD キャッシュなど)がクラッシュしても、受動サーバー上で対応するストレージ スペースは正常に機能しています。クラッシュしたストレージ スペースにボリュームまたは iSCSI LUN (ブロック レベル) がない場合は、システムはフェイルオーバーを実行しませんのでご注意ください。
- サービス エラー:監視中のサービスでエラーが発生した場合。
- 停電:アクティブ サーバーがシャットダウンまたは再起動した、アクティブ サーバーの両方の電源が故障した、あるいは停電した場合。
切替えエラー
次のような状況では、スイッチオーバーやフェイルオーバーが実行されない場合があります。
- データの複製が不完全である:初めて 2 台のサーバーを接続して high-availability クラスタを構築する場合、すべてのデータをアクティブ サーバーから受動サーバーへ複製しなければならないために、時間がかかります。
- 受動サーバー上のストレージ スペースがクラッシュした:受動サーバーのストレージ スペース(ボリューム、ディスク グループ、RAID Group など)がクラッシュした場合。
- 停電:受動サーバーがシャットダウンまたは再起動した、受動サーバーの両方の電源が故障した、あるいは停電した場合。
- DSM の更新:DSM アップデートをインストールすると、すべてのサービスが停止します。DSM アップデートのインストールが完了すると、再開されます。
手動で切替えを行ってもサービスが受動サーバーに切替わらない場合は、システムがサービスをアクティブ サーバーに戻そうとします。
フェイルオーバーが行われても、エラーのためにどちらのサーバーもアクティブ サーバーとして機能しなくなると、high-availability クラスタはサービスを正常に提供することができなくなります。サーバーが自動的にスタンドアローン状態に戻らない場合は (非パッシブ サーバー)、両方のサーバーで [リセット] ボタンを押すとデフォルト設定が復元されます。デフォルト設定に戻ったら、再び両サーバーを組み合わせて high-availability クラスタを作成することができます。
UPS
予期しない停電に備えて、High-availability クラスタを UPS に接続することができます。停電になった場合、サーバーは接続されている UPS から電源供給を受けます。アクティブ サーバーが接続されている UPS の電源残量が少なくなると、システムはサービスを受動サーバーに切り替えようとします。次の説明をお読みください。
- アクティブサーバーと受動サーバーが同じネットワーク スイッチに繋がれている場合は、両方のサーバーをネットワーク スイッチと同じ電源に繋いでください。
- アクティブサーバーと受動サーバーが別の電源を使う(電力会社が違うなど)別々のネットワーク スイッチに繋がれている場合は、アクティブサーバーと受動サーバーをそれぞれが繋がれているネットワーク スイッチと同じ電源に繋ぐことをお薦めします。
- アクティブサーバーと受動サーバーが異なる UPS ユニットを使用する別々のネットワーク スイッチに繋がれている場合は、両方のサーバーをそれぞれ異なる UPS ユニットに繋ぐのではなく、どちらかの UPS ユニットに繋ぐようお薦めします。UPS ユニットの電源が無くなった場合は、アクティブ サーバーが通知を受けてセーフモードに入ります。受動サーバーは正常に電源が切られます。サーバーがそれぞれ異なる UPS ユニットに繋がれていると、アクティブサーバーは受動サーバーの UPS の残量を検出することはできないため、受動サーバーが突然シャットダウンしてしまいます。
注:
- Synology NAS はローカル デバイスと SNMP UPS デバイスの接続に対応しています。詳しくは、[コントロール パネル] > [ハードウェア] > [UPS] のヘルプをご覧ください。