CIFS スケールアウト クラスタをはじめましょう
Synology CIFS スケールアウト クラスタは、ストレージと 複数の Synology NAS サーバーから成るコンピュータ リソースを統合することで、クラスタ化したストレージ ユニットを構築します。CIFS スケールアウト クラスタはスケール オン デマンド構造を導入しており、クラスタに別のサーバーを追加しながらスムーズにストレージ容量を増量できます。
クラスタ構成では、Synology NAS サーバーにストレージ サーバー またはコンピューティング サーバーとしての役割を果たすように割り当てることができます。ストレージ サーバーは、クラスタ ストレージ領域にハードドライブを提供します。コンピューティング サーバーは、ファイル アクセス要求を処理し、割り振りますので、クラスタのデータ スループットが増加します。1 台のサーバーを、コンピューティング サーバーとストレージ サーバーとして割り当てることができます。
用語説明
- クラスタ ボリューム:クラスタ ボリュームは、1 台から 12 台の Synology NAS サーバーで構成される、統合データ ストレージです。各サーバーは、RAID 1/5/6 レイアウトに構成された指定されたハードドライブを提供し、クラスタ ボリュームのストレージ ユニットを構築します。クラスタ ボリュームを構築するには、未使用のハードドライブしか使用できません。
- ストレージ ユニット:ストレージ ユニットは、ストレージ サーバー上の RAID/1/5/6 に設置されたハードドライブで構成されています。ストレージ ユニットは、クラスタ ボリュームを構成します。
- クラスタ共有:クラスタ共有とは、データを整理し、共有するためにクラスタ ボリューム上に作成された共有フォルダです。クラスタ共有には、CIFS プロトコルを介してユーザーがアクセスします。
- ストレージ サーバー:ストレージ サーバーは、指定したハードドライブをクラスタ ボリュームのストレージ スペースの一部にする Synology NAS サーバーです。
- コンピューティング サーバー:コンピューティング サーバーは、複数のストレージ サーバーへのファイル アクセス リクエストを処理し、配布するための計算力を提供する Synology NAS サーバーです。また、ユーザーやアプリケーションがデータに接続、アクセスできるように、CIFS サービスを提供します。コンピューティング サーバーとしての役割をするサーバーを 1 台から 12 台の範囲で指定できます。クラスタの IOPS(Input/Output Operations Per Second)は、割り当てたコンピューティング サーバーの数に応じて、比例的に増加します。
はじめる前に
次の注意をよくお読みください。
- 一部の Synology NAS モデルしか CIFS スケールアウト クラスタ機能に対応していません。
- クラスタに含まれるすべてのサーバーは、[CMS] > [サーバー] > [追加] を選択して、CMS ホストに追加されなければなりません。
CIFS スケールアウト クラスタの設定
すべてのサーバーを CMS ホストに追加したら、下の手順に従って CIFS スケールアウト クラスタを設定してください。
新しいクラスタを設定する:
- [CMS] > [クラスタの概要] を選択した後、[クラスタの設定] をクリックします。
- すると、セットアップ ウィザードが開きますので、次の手順に従ってください。
- クラスタ ボリュームの作成:ストレージ サーバーにデータを保管するためのクラスタ ボリュームを作成します。
- コンピューティング サーバーを選択:コンピューティング サーバーは、クライアントが送信したファイルアクセス リクエストを処理するために使用されます。すべてのサーバーは、同じドメイン/LDAP に属している必要がありますので、ドメイン/LDAP サーバーのアドレスとログイン情報を入力する必要があります。ドメイン/LDAP サーバーがない場合は、自分の LDAP サーバーを設定するために、Synology のDirectory Server パッケージをダウンロードしてインストールすることができます。
- 分散 CIFS サービスの設定:統一した NetBIOS 名または CIFS サーバー IP アドレスを使って、分散 CIFS サービスにアクセスすることができます。
- クラスタ共有の作成:データを整理したり、共有したりするために、クラスタ ボリュームの一番上に共有フォルダを作成します。
コンピューティング サーバーの読み込みバランス
クラスタが稼働したら、コンピューティング サーバーの読み込みバランスを設定するようお勧めします。すべてのコンピューティング サーバーは CIFS サービスを同時に処理しますので、すべてのコンピューティング サーバーに亘ってファイル アクセス リクエストを配布するために、読み込みバランスが必要です。NetBIOS ネームによる読み込みバランス と ラウンド ロビン DNS による読み込みバランス の 2 つのタイプの読み込みバランスがあります。
NetBIOS ネームによる読み込みバランス
この方法では、クライアントが NetBIOS ネームを使ってクラスタ共有にアクセスするとき、コンピューティング サーバーの 1 台がランダムにリクエストに応答しますので、すべてのコンピューティング サーバーに亘って接続の読み込みのバランスを取ることができます。
ラウンド ロビン DNS による読み込みバランス
ラウンド ロビン DNS は、ローテーション シーケンスに応じてクエリーをコンピューティング サーバーにジャンプさせることによって、コンピューティング サーバーの接続読み込みを配布します。ラウンド ロビン DNS を使用すると、各クエリアーは別のコンピューティング サーバーに転送されます。そのため、サーバー間に全体的な接続読み込みを配布します。
ラウンド ロビン は、あなたの環境の DNS サーバーで設定できます。環境に DNS サーバーがない場合は、Synology の DNS Server パッケージをインストールして、DNS リソース レコードを設定します。
ラウンド ロビン DNS を設定する:
- このチュートリアルにしたがって、DNS Server をインストールし、設定してください。
- ゾーン ページでマスター ゾーンを選択し、[編集] > [リソース レコード] を選択します。
- [作成] > [A タイプ] をクリックします。ホスト名(クラスタ名と FQDN が 「ホスト名」.「ドメイン名」 の場合、ホスト名は [cluster.synology.com] となります)を入力して、コンピューティング サーバーの 1 つの IP アドレスを入力します。
- すべてのコンピューティング サーバーが A レコードに含まれるまで、上記の手順を繰り返してください。ホスト名はコンピューティング サーバーの各 A レコードと同じでなければなりません。
- あなたのコンピュータから新しく構成した DNS サーバーにアクセスします。FQDN (cluster.synology.com) を使用すれば、クラスタ CIFS サーバーにアクセスできるはずです。